香料の原料は、植物から取れるものもあれば、動物から取れるものもあります。
動物由来の香料って、どんなものか想像できますか?
「動物由来」と聞くだけで、肉肉しい香りや体臭・獣臭を想像するかもしれません。
確かに動物原料そのものの香りは、悪臭と言って良いほど強烈な臭いを放ちます。
ただ、その原料を薄めて、香水にほんの少しだけ加えると、驚くことに、見事に芳しい魅力的な香水になるんです。
とっても不思議ですよね。
確かに歴史を遡ると、昔の人はワキガが強い人ほどモテたと言われています。
そこからわかるように、動物から放たれる臭いって「悪臭」と感じると同時に、フェロモンのような、目に見えない人を惹きつける効果があるのだと思います。
現代の香水も、この効果を利用し微量の動物香料が加わっており、相手が無意識のうちに魅力的だと感じるような香りになっています。
動物由来の香料の中でも、印象に残る香りが「シベット」。
もう、なんと表現して良いのか。
口臭のような糞尿のような、香り自体が非常に強く、シベットの香料瓶のフタを少し開けただけで、部屋中が耐え難い悪臭になるほど。
シベットは日本名で「霊猫香(れいびょうこう)」と呼ばれます。
ジャコウネコの分泌物であり、尾っぽの近くにある香嚢からヘラでペースト状の分泌物を取り出します。
ジャコウネコといえば、コピ・ルアクというインドネシアのコーヒーを知っていますか?
これはコーヒー豆を食べさせたジャコウネコの糞から取り出した未消化のコーヒー豆なのですが、とても良い香りがする高級フレーバーコーヒーとして有名です。
その同じジャコウネコから採れる香料が「シベット」です。
香水に使用するときには、本当に微量です。それだけで絶大な効果を発揮します。
特にバニラなどのオリエンタル系の香りや、ジャスミンなどの重めのフローラルと相性が良く、花をより、お花らしくするという効果があります。
かつて、クレオパトラは美を追求し、シベットを身体中に塗りたくり、世の男性を惹きつけていたとか。
無意識に惹かれる、動物香料の香り。
このアニマルパワーを借りて、魅惑の香水を纏ってみては?
シャリマー / ゲラン
オリエンタルで官能的、だけどセンシュアルさを持つ魅惑の香り。バニラやトンカビーンが温かく香る。シベットで官能さが際立っています。