動物性の香料の中で最も有名なのは、ムスク。
ムスクと聞いてどんな香りを想像しますか?
石鹸のような香り、清潔な素肌のような香り、夜の良いムードを演出する温かみのある香り…?
ムスクは日本名で麝香といいます。(じゃこう)。
オスのジャコウジカの腹部にある生殖腺 香嚢(こうのう)から得られる分泌物を乾燥した香料です。
この香嚢は手のひらに収まる球状で毛に覆われており、大きい毛玉の様なもの。
見た目からして動物らしさが満載nなのです。
しかし見た目に反して、ムスクは甘く粉っぽい、ベビーパウダーのような香りを持ちます。
香水業界ではパウダリーな香りとも表されることがあり、とても人気の高い香りです。
ムスクは、特にオリエンタル寄りの深みのある香りと非常に相性が良いのですが、
その他フローラルやシトラス、グリーン系まで幅広く色んな香料に合います。
クセの少ない香りで、様々な香りの深みと温かみを増すような存在です。
昔はこのムスク香料を得るために、何百、何千頭ものジャコウジカが犠牲になっていました。
そのため今は絶滅の危機に直面しており、ワシントン条約で動物から香料を採取することは禁じられているので、今あるムスクは全て合成で作られた香料です。
そもそもジャコウジカはなぜ香嚢(ムスク)を持つのか。
実はシベット同様、ムスクにも異性に対して魅力を増強する「フェロモン効果」があると言われています。
ジャコウジカのオスは、このムスクの香りで遠くにいるメスを引き寄せるそうです。
つまり、子孫繁栄の為、異性へ対するフェロモンを放っているのです。
これを、香料として使える!動物から取り出そう!と発見した人は、すごいな...と思いますが、
なんと香水としてのムスクの歴史は長く、インドや中国では紀元前から薫香や香油・薬などに用いられていたとされます。
香り使いのスペシャリストであったと言われるクレオパトラ。
クレオパトラは動物香料シベットを身体に塗りたくり男性を魅了していたそうですが、ムスクやローズをブレンドした香油も媚薬・惚れ薬として用いていたそうです。
動物香料とローズなどのフローラルをブレンドし、フェロモン効果を知っているかのように、こんなにも昔から香りをうまく使っていたなんて驚きですよね。
フェロモンは目に見えませんが、昔の人は現代よりも鼻が長けていて動物的な感覚も鋭くフェロモンを感じていたのかもしれません。
芳しい香りが人気のムスクですが、良い香りの代表の”言葉”として用いられます。
良い強い香りを持つものに”ムスク”の名をつける風習があるのです。
例えば、高貴で強い香りを放つマスクメロン。
「マスク」の語源はムスクに由来しているそうです!
昔から現代まで、幅広く人気高いムスク。
柔らかく繊細で温かみのあるムスクを使って、気軽に、自然に、そして無意識に魅力を放ってみては?
ムスクの代表的な香水
・ホワイトムスク / レイヤードフレグランス
ほっこりとしたムスクの温かみのある香り。
ほんのりと甘いバニラと、ジャスミンの柔らかい香りが顔を出します。