独特でオリエンタルな雰囲気を醸し出す、お香や線香の香り。筆者の周りにも、お香の香りが好きだという方は多いのですが、日本は特に線香をたく習慣があるので、馴染みのある香りでもあるかと思います。それとは逆に、古くさい感じがする、仏壇を連想させるなどという理由から、香水としては纏いたくない!という方もいますよね。
ですが、それらを香りのひとつとしたとき、意外と何の香りかわからない方は多いのではないでしょうか。今日はお香や線香のもとになっている香りを探っていきたいと思います。
実は、お香となる原料は1種類ではなく、数十種ほどあります。代表的なものだと、サンダルウッドとも言われる白檀(ビャクダン)の香り。ソフトで甘みのあるウッディな香りです。さらにセイロンケイヒと呼ばれる、京都名物の八つ橋の香りともなっている香りです。
古くから香道でも用いられている、アガーウッドと呼ばれる沈香や、伽羅(キャラ)という香木。アヤメの根(イリス根)や、丁子(クローブ)、動物性の香りだと、ムスクや龍涎香(アンバーグリス)の香りなどがよく聞く香りではないでしょうか。
線香の香りはというと、こちらもやはりあまり大差はありません。白檀や沈香の香木の香りを用いたり、ムスクやアンバーグリス、丁子、さらにはラベンダーやローズなどのさまざまな香りを使っています。ですが、こういった線香は、「匂い線香」というものに分類され、お墓参りなどで使用されることが多い線香として、「杉線香」と呼ばれるものがあります。
杉線香は、三ヶ月ほど乾燥させた杉の葉を粉砕機などを用いて粉末にしたものに、湯とノリを加えて練り、線状に成形したものです。杉特有の香りが楽しめる、日本のお線香らしい香りです。
線香というと、香りと少しそれているように思われがちかもしれませんが、日本で古くから楽しまれてきた「香道」の世界と繋がりがあり、香りという分野では切っても切り離せないものです。特に上記にあげたような原料は、よく香水にも使われるようなものなので、もし線香やお香のようなオリエンタルなフレグランスを試してみたい方は、原料名からフレグランスを探してみてはいかがでしょうか。