前回、前々回に続き、今回もわかりづらい香りシリーズのご紹介です。
今回は「マリン系」の香りについて、お話ししたいと思います。
みなさんは、「マリン系」の香りと聞いてどんな香を想像しますか?
マリンとはその名の通り「海」という意味です。海の香り?少し想像しにくいと思います。
マリン系の香りには、アクア、オゾンといった香りもあります。と言われても、どれも想像しにくいですよね。
上記3つの香りに共通しているのは、これといった香りがないこと。
アクアは水、オゾンはより粒子化された霧のようなイメージです。
例えば、GIVENCHYのウルトラマリンという香水を知っていますか?
以前大ヒットしたマリン系の香水です。
この香水を嗅ぎ、「こういう香りがマリン系なのか」と思い海へ行くとびっくり。実際の海からはそんな香りはせず、どちらかというと磯っぽい香りが強いです。
ここで伝えたいのは、アクア・マリン・オゾンはそれぞれ香りがしない。なのでそれぞれのフレーズを通して人が思い描くものがあり、それを香りで表したものがそれぞれの香りになっている。という事です。
白いワンピースを着た女性が佇んでいて、そこに海風が抜けていった。
どうでしょう、いい香りがしそうじゃないですか?
そのようなイメージから作られているのが、いわゆる「マリン系」。オゾン・アクアはマリンノートからの派生となっています。
前回紹介した「シプレ」、「フゼア」の2つは、その香りを嗅いでこれはシプレ系、フゼア系と慣れてくるとわかりやすい香りとなっています。
ですが、「マリン」、「アクア」、「オゾン」の境界線の引き方は、人の想像から作られている香りなので、正解は無いです。
1990年代初頭に、マリン系が世の中にどんどん出てくるようになりました。
そのきっかけになったのは、1989年にイヴタンギーという調香師が出したNew Westという商品。これがきっかけとなって、90年代にいろいろなマリン系の香水が出てきました。
アクア系の香水には、わかりやすく香水のタイトルに来ることも多いので、店頭で見たときに、どれが「アクア系」なのかわかりやすいものもあります。ですが、ブランドによって同じマリン系・アクア系でも違う香りの時がよくあります。
ようは、作る人がその情景をイメージした時に感じた「こういう香りがあるといいよね」というものが作られているので、創造性の高い香りのジャンルになってくる。という事です。
「フゼア」と比較すると「マリン」は全体的に軽やかな印象になっていきやすいです。
このような情報を持ちながら香水を使っていくと、すごく楽しみがあると思います。
海に行くときにマリン系の香水をつけていくと、潮風や海から漂う香りと混ざりあって、なんとなく心地よい感じもします。
このように、シチュエーションと香りへの知識を通して、楽しむ余地を増やしていくことにもつながります。
これらを知識として持っておくと、より香水を身近に感じられて、より楽しんでいただけると思います。
アクア系の香水としてわかりやすいタイトルの香水
Acqua di Gio/GGIORGIO ARMANI