Fragrance web Magazine

|セントペディア

Scentpedia

NEWS

【ルイ・ヴィトン】新作フレグランス「Myriad」を発売

2023.10.18

Scentpedia編集部

ルイ・ヴィトンは、新作フレグランス「Myriad」を2023年10月19日より発売する。

建築とパフュームが交わすユニークな対話

コラボレーションの枠を超える、傑出した現代アーティスト2人の才能の共鳴。

2021年、ルイ・ヴィトンによって、インハウス・マスター・パフューマーのジャック・キャヴァリエ・ベルトリュードと、伝説的な建築家であるフランク・ゲーリーの稀有な出逢いが実現した。この出逢いから誕生したのは、パフュームを優れた芸術のレベルまでに昇華させた「Les Extraits Collection(レ・ゼクストレ コレクション)」。このたび、フレグランスの世界で名高く稀少な香料にオマージュを捧げた新作「Myriad(ミリアド)」が加わり、当コレクションがさらに充実した。

パフュームの究極の表現である「Les Extraits Collection」は、1つの理念を共有するクリエイティブな2人の間のハーモニーを体現。ピュアな感情を生み出すために固定概念から解き放たれること──それが、2人の人生における創作活動に一貫する共通の理念だ。

「Myriad」:ブラックゴールドから放たれる色彩
「Les Extraits Collection」の第6作目においても、ジャック・キャヴァリエ・ベルトリュードは、壮大なテーマに沿ってパフュームを再解釈し続けている。今回、新たな調べを紡ぎ出すためにジャックが独自の香りの楽譜を捧げたのは、とても貴重で、別名「ブラックゴールド」として知られる素材、ウード(沈香)。それは、他のすべての香りを内包しているかと思わせるほど奥深い香料で、「その非凡なノートは、常に私を魅了します」とインハウス・マスター・パフューマーは語る。 信じられないほどに複雑な香りと、さまざまな文化圏と国々で愛されてきたユニークかつ豊かな歴史を持つがゆえに、ウードは調香師に壮大なインスピレーションを与える。ウードに秘められた無限のバリエーションが、他にはない香りと言われる所以だ。

しかし、パフュームの世界におけるこれほど重要な香料を、前例のない手法で表現するにはどのようにすればよいのでしょう?調香からボトルデザインにいたるまで、これほど濃厚でパワフルな原材料を、「Les Extraits Collection」のシグネチャーであるなめらかさと軽やかさと共存させるにはどのようにすればよいのでしょう?このユニークなコレクションに、ウードを活かすことは容易ではありませんでした。これを実現するため、ジャックは「ウードを光で貫く」ことで、その香りのすべての側面を明かしました。まるで虹色の光を放つダイヤモンドのように、ウードは無数の香りのニュアンスを表現するのだ

出発点となったのは、ジャックが選んだ他に類のないウード・アッサムのエッセンス──これを提供しているバングラデシュの農園は現在、ルイ・ヴィトンの専属サプライヤーになっている。相互的なコミットメントに基づき長期契約が結ばれ、ここで作られる「ウードならではのウッディでスパイシーな奥深さと、独特なアニマリックノートの完璧なバランス」を持つウード・アッサムエッセンスのすべてを、ルイ・ヴィトンで使用できることになったのだ。 「Myriad」のフォーミュラに高い賦(ふ)香率(こうりつ)で使われるこの特別なウードとのコントラストを強調するため、フローラルノートは必須だった。ジャックは、ブルガリアローズのエッセンスの瑞々しさと、グラース産のメイローズアブソリュートのふくよかさを組み合わせ、いわゆるオーダーメイドのローズアコードを創り上げた。メインノートを支えるためにサフランを重ね合わせることにより、ウードにもともと含まれているレザーノートとスパイシーさを高める。 一方で、カカオから得られるノートは官能的でありながら素材本来の力強さという二面性を打ち出す。色彩とテクスチャーの万華鏡のようにこの上なく多面的なノートはこうして、羽ばたく準備を整えた。包み込むように濃厚なアンブレットシードとホワイトムスクがこのフレグランスを浮遊させ、エネルギーを吹き込み、肌の上に長く留まります。そしてファイナルタッチをもたらすのは、モスノート。なめらかでタイムレスな余韻がベルベットを想わせる。「Les Extraits Collection」のスタイルを巧みに体現した「Myriad」は、「輝かしい深み」、「濃密な軽さ」、「幾千もの色彩を含むブラック」という矛盾する表現が相応しい香りと言えるだろう。

自然への讃歌

「Les Extraits Collection」を通して、ジャック・キャヴァリエ・ベルトリュードとフランク・ゲーリーは、互いの作品に見られる重要な共通点である「自然からのインスピレーション」を追求している。自然の素晴らしい多様性を讃える「Myriad」──無限のニュアンスを持つその輝かしい香りの余韻は、生命の眩いカラーパレットへの賛辞に他ならない。

「自然こそが私たちの案内役。フランクも私も、私たちを取巻く世界を吹き抜ける風を愛している。そして私たちは動きとなめらかさに魅せられていて、この2つが『Les Extraits Collection』の真髄」とジャックは断言する。

アートにおけるバイオミミクリー(生物模倣)の先駆者であるフランクは、常に自然の中にインスピレーションを求めてきた。自然はその美しさとさまざまな無限の多様性に加え、今日の世界が直面する課題に応えるサステナブルな建築の実現を可能にする。

ジャック・キャヴァリエ・ベルトリュードの仕事は、自然やそれが生み出す宝と切り離せない関係にある職業の良い例と言えるだろう。自身の故郷であるグラースの中心地にある「レ・フォンテーヌ・パルフュメ」にアトリエを構えるジャックは、近隣および遠国から届けられる原材料を使用しながら日々仕事をしている。自然は彼に、フラワー、ハーブ、スパイス、ウッドのエッセンスを通して、創作のための素材と作品の基礎となる調和性の両方を与えてくれる。


カテゴリー化に抗う色
フレグランスとは嗅覚より先に視覚で認知されるため、「Myriad」のメッセージは黄褐色を帯びたレッドとアンバーピンクの間で揺らめくその液体のカラーに表現されている。この大胆な色合いは、自然が持つ無限のカラーパレットの永遠の不思議を想わせる。

ジャック・キャヴァリエ・ベルトリュードが再び創造した
エクストレ・ドゥ・パルファン


ジャック・キャヴァリエ・ベルトリュードは、パフュームを最も高貴な姿に再び創造することに挑んだ。その目的は、30%という高い賦(ふ)香率(こうりつ)のエクストレ・ドゥ・パルファンに21世紀に相応しいコンテンポラリーな表現を与えること。宇宙の膨張という原理にインスパイアされたジャックは、その香りの可能性を引き延ばし、新たなかたちを与えようとした。内側から外側へと動きを持たせ、光を取込み、新鮮な息吹をもたらしたのだ。

グラース生まれであることを誇りとするジャックは、現代の香水界における多くの主要テーマを再解釈した5つのクリエーションで「Les Extraits Collection」を発表。祖父、そして父もパフューマーという家系のジャックは、伝統を讃えつつその輪郭を再定義することで、脈々と受け継がれてきた香水の歴史に敬意を捧げたのだ。

「Les Extraits Collection」は、伝統的なトップノート、ハートノート、ベースノートという区分を取払うことで、従来のパフュームの香調を打ち破り、インスピレーションを膨らませる香りのテーマ――フローラル「Dancing Blossom(ダンシング ブロッサム)」、ムスク「Cosmic Cloud(コズミック クラウド)」、シトラス「Symphony(シンフォニー)」、シプレー「Rhapsody(ラプソディ)」、アンバー「Stellar Times(ステラー タイムズ)」――の真髄を明かす。かつてないほどに肌の上で発見され、再発見されるこれらの多彩なクリエーション。これらの抽象的な香りは、無重力な状態で動きの一瞬を捉えられ、時の流れから切り離されたかのようだ。

ボトル:フランク・ゲーリーによって捉えられた動き
香水のボトルは、現存する建築界の巨匠の1人であるフランク・ゲーリーが未だ手掛けたことのない数少ない領域の1つでした。ジャックの香りの創作に呼応するかのように、フランクは物理の法則に縛られないダイナミックでなめらかな形状を構想。一言で言うと、自由に浮遊しているかのようなシェイプ。

デザイナーのマーク・ニューソンがルイ・ヴィトンのフレグランスのために考案したオリジナルボトルを出発点として、フランクはまず、元のラインを円弧状に引き延ばすことからはじめ、その後に、空想上の花さながらの素晴らしいキャップ(蓋)をデザインした。このキャップの基本形状を決めるにあたり、フランクはアルミニウムのシートを自らの手の中で丸めて試行錯誤しました。この儚くも、今や永遠となったフォルムは技術的かつ卓越した美しさの両方を反映。それは彫刻的で極めて優美なアート作品そのものだ。

「私はより鮮やかな色、つまり彩度の高い色に引き寄せられます。それによって、脳のスイッチが異なる方法で入るのです」。
──フランク・ゲーリー

Photography
Florian Joye

エクストレ・ドゥ・パルファン 「Myriad」 100 ml 89,000円(税別)
2023年10月19日(木)より、一部ルイ・ヴィトン ストアおよび公式サイトにてお求めいただける。

ルイ・ヴィトンについて
1854年の創業以来、ルイ・ヴィトンは、革新とスタイルを組み合わせた独自のデザインを常に最高級な品質で提供し続けている。現在もトラベルラゲージ、バッグ、アクセサリーなどの製品を通じて、クリエイティブでありながらエレガントで実用的という、創業者ルイ・ヴィトンが生み出した「旅の真髄(こころ)」の精神を忠実に受け継いでいる。ルイ・ヴィトンというストーリーを作り上げたのは「大胆さ」。 伝統を重んじ、歴史の中で建築家、アーティスト、デザイナーに門戸を開き、プレタポルテ、シューズ、アクセサリー、ウォッチ、ファインジュエリー、フレグランスなどの分野を開拓してきたのだ。これらの丁寧に製作された製品は、ルイ・ヴィトンがクラフツマンシップにいかにこだわりを持ってきたかという証となっている。

関連記事