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【インタビュー】香りで世界を切り拓く、フレグランスプロデューサー石坂将の次なる戦略とは?

2018.08.04

Scentpedia編集部

今、セントネーションズが立ち上げたフレグランスブランド「レイヤードフレグランス(LAYERED FRAGRANCE)」が世界に向けて大きく足を踏み出している。世界に受け入れられるジャパンメイドのブランドを創出した石坂将(セントネーションズ 代表取締役)が語る、これからのフレグランス業界、そして次なる戦略に迫った。

-1年ぶりの取材となりますが、この1年間で大きく変わったことはありましたか。


石坂 将(以下、石坂):一年前はポップアップショップの出店を増やして行った時期でしたが、そこを経て自分たちの強みと課題が見えて、自信にも繋がりました。常設店の出店や海外展開も進んで、昨年とは全てが大きく変わったように思います。



-現在、ショップは何店舗になりましたか。


石坂:常設店は、新宿ルミネエスト店、渋谷 MODI、小田急百貨店新宿店の3店舗です。8月からルミネ大宮店もロングランで出店が決まっているのと同時に、今は横浜と日本橋の高島屋でポップアップストアを出店しているので、ポップアップストアは常に3~4店舗くらいです。途切れないように常に違った土地で出店していけるようにしています。



-今後は常設店も増やしていくことを考えているのでしょうか。


石坂:会社として、強い小売店を自分たちで運営できるかどうかが重要だと思っています。卸を中心とした我々の業界では小売店の運営は敬遠されがちなビジネスモデルです。ですが、過去数年のいわゆる勝ち組を見ていくと、要するに小売店開発ができるブランド、会社が勝ち組になっていく時代なんだと考えています。既存の多店舗系の小売店の成長がこれ以上望めない以上、セントネーションズとしては国内における経済的な成長の源泉を自社でのリテールビジネスに見出していこうと考えています。今は “ジャパニーズフレグランスブランドの中でも世界一店舗が多いブランド”を目指しています。

-今後増やしていきたい卸先はありますか。


石坂:供給量より需要量の方が増えてきていているので、まずは在庫を潤沢にして流通戦略を立てる必要がありますが、国内は、今後1年くらいの間で可能性があるところを網羅して、これまではフレグランスの売り場として存在していなかった場所もレイヤードフレグランスの売り場にして行きたいです。以前ホテル コエでポップアップストアを出店した際も予想よりも反応がよかったので、ブティックホテルとのコラボレーションもやって行きたいです。



-昨年からの売上にはどのくらいの変化がありましたか。


石坂:2017年は3.5億円程でした、2018年は今の見込みだと7億円くらいでしょうか。来年は10億円を見込んでいます。振り返ると、過去2年間程度は、会社の体質改善と新たなビジネス領域の発掘に投資していた期間だったように思います。今年以降の数年間はその刈り取り期間と位置付けています。



-海外の展開についてはいかがでしょうか。


石坂:今海外は非常に売上が伸びていて、今後3年で立てている売上計画では、6~7割は海外での売上を見込んでいます。今年のクリスマスシーズンには、ヨーロッパでポップアップツアーを予定しています。



-レイヤードフレグランスの海外での反応はどうでしょうか。


石坂:「Amaizing」と言われます(笑)。ジャパニーズブランドならではな香りのラインアップもそうですが、買いやすい価格であることはとても評価されますね。フレグランスブランドとしてのセオリーに乗っ取らない商品開発をやってきたからこその幅広いアイテムもブランドとしての魅力と感じて頂いています。



-フレグランス製品を輸出することにおいて、苦戦することはなかったのでしょうか。


石坂:商品を海外の人達に向け受け入れてもらうことに関しては全くなかったです。法規制においてはまだまだ経験が足りないところなので大変なこともありますが、それくらいですね。



-今後新たな商品の構想はありますか。


石坂:今の生産背景の強みを生かして、フレーバーティーを考えています。香りのラインアップとしても、レイヤードフレグランスの「レモンピール」や「シュガーライチ」などと親和性もあって、香りという個性がある限り、ブランドのアイデンティティは失われないですし、説得性を持って商品を展開していけるのではと考えています。



-これからのフレグランス業界はどのように変化すると考えていますか。


石坂:フレグランス業界に関わらず、他業界においても縮小を伴うレジームチェンジが起きるのではないかなと思います。フレグランス業界は、少しずつ規模を小さくしながら段階的に衰退して行くか、レジームチェンジを通して、新しいマーケットを作り出して、そこを足掛かりに伸びて行くのではないかと個人的に考えています。僕自身が望んでいるのはもちろん後者です。日本経済がある程度衰退していく中で、そのような動きができて行くと経済が回ると思っているので、自分も業界の発展には寄与したいです。


レイヤードフレグランスから6月に発売したハンド&ボディウォッシュ

-そういった考えのもと、フレグランス協会の理事に就任されたのでしょうか。


石坂:自分が積極的に世に出ていって、色んな方々の目に止まることが、業界の活性化につながればいいなと思います。個人的な野心よりも、現実的にフレグランスという物が世の注目を浴びる為にも、自分を使ってもらえればいいなと思っているところはあります(笑)。



-日本フレグランス大賞が今年は開催されないとのことでしたが。


石坂:フレグランス大賞というものが、より多くのメディアに注目されるようなものになれば、開催すればいいのかなと思います。日本フレグランス大賞をカルバン・クラインが受賞というのはどうなのかと感じますし、だからと言って日本の物だけに固執すると圧倒的に母数が少ないというのもあります。



-これから挑戦したい香りにおいてのビジネスを教えてください。


石坂:既存にあるブランドも、もっと広く、新しい方法でやっていくことを考えています。例えばスポーツ選手とのコラボレーションも、成長していって、スポーツコス

メティクスブランドとしてやれると、ブランドのカラーも浮き出てきて面白そうだなと思います。


新たなフレグランスブランド「KILIG」

-近頃ではタレントのラブリさんのフレグランスブランド「KILIG」を発表されましたが、今後もライセンスビジネスは続けて行きますか。


石坂:セントネーションズができてからやってきてきているOEMやメーカーとしての生産、ライセンスビジネスは、全部続けて行きます。僕の場合は最初から、沢山のアイテム数を揃えてスタートすることはないので、最初は細々と初めてでも、SKUを徐々に増やして、いずれは単体でもショップが出来るように着実にやって行きたいといつも考えています。



-では最後に、今後の展望を聞かせてください。


石坂:5年以内に上場することです。以前はセントネーションズが上場できる会社なのかどうかにおいての不明瞭さを受け入れていたのですが、今はセントネーションズのような会社のために上場というシステムがあるのではと感じています。

レイヤードフレグランス オフィシャルサイト:http://layeredfragrance.com/
KILIG オフィシャルサイト:http://special.scentnations.com/kilig/

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