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70年以上にわたり仙台のフレグランス市場を支え続ける「パフューマリースキヤ」の想いとは?

2017.12.15

Scentpedia編集部

昭和20年から、宮城県仙台市で長きにわたって愛され続けている老舗化粧品店「パフューマリー スキヤ」。フレグランス製品・化粧品がぎっしり並んだエスパル仙台店に伺い、取締役営業部長である由佐 憲靖氏に仙台ならではの話をきくことができた。仙台の地にこだわって、様々なジャンルのフレグランスに向き合うその想いとは。

ーお店の名前は昔からあり、ずっと香水を扱っていたのでしょうか。
由佐 憲靖氏(以下、由佐):最初は化粧品があって、リボンなどの雑貨があるような、街の化粧品屋さんといった感じだったと聞いています。パフューマリーという名前をつけているのは、ヨーロッパではパフューマリーといっても化粧品だったりも扱っているということで、うちでもそういった形式をとっています。

ー日本ではフレグランス文化が未だ根強くないですが、そんななか仙台という土地で個性的なラインアップも揃えてフレグランスを展開することにはどういった意味がありますか。
由佐 :仙台のフレグランス市場では、月に約1000万円ほどのフレグランスが動くとされています。そのなかでも東北でメゾンフレグランスを扱っているのは仙台だけなのですが、接客を通して話を繰り返していくことで、いわゆるラグジュアリーフレグランスというものにお金を使うようになっていったりもしてくれるんです。購入できる場としても、知るきっかけとなる場としても存在していているのは、フレグランスにおいてとても重要なことだと感じています。

ー仙台ではどのようなフレグランスの人気が強いのでしょうか。
由佐:やはりファッションブランドのフレグランスは根強く、エスパル仙台のショップでも表面はファッションフレグランス、奥にはニッチフレグランスが充実しているというような並びになっています。表面だけでも月に250〜300本ほどの香水が売れています。ニッチの中では「バイレード」はとても人気が高いですね。ここと別の本店では、「セルジュ ルタンス」がとても売れています。

ーただやはりニッチフレグランスの価格には躊躇されるお客様が多いのではないでしょうか。
由佐:プライスにはとても躊躇されますね。ファッションブランドの香水までも、ディスカウントストアで3000円だったりという価格で売られてしまっていて、それらの認識がある方が多いというのもあります。ですが、飲みに行くと5000円くらい使うじゃないですか。それを思うと、高級品に日々触れて、半年くらい香りを楽しめるのって素敵なことだと思っています。そういった話をしたりしますね。

ー近年、フレグランスはどのように見られていると感じていますか。
由佐:昔は捨てるほどフレグランスを買っていたし、10本くらいあって埃がかぶっているような状態でした。でも今は、いろんな情報を得て、選ぶ一本に焦点をあてています。そうやって一つの香りを使い切ることを学んでいくと思います。

ーフレグランス情報の配信等には注力していますか。
由佐:そうですね。インスタグラムの更新でフレグランスについて流しています。これが意外と反応があって、フォロワーも伸びていますし、実際にインスタグラムの写真をみて、購入してくださる方も多いですね。
ファインフレグランス以外にも様々なフレグランス製品が並ぶ店内
ーそれでも東京のように周りの環境としてフレグランスが充実していないとなると、店頭でやっと香水を知ってもらうという感じでしょうか。
由佐:やはり雑誌やSNSというものがあっても、それでもそこでの影響というのは正直ほとんどないですね。それよりもメーカー様の頑張りがほとんどです。ファッションフレグランスはとても動きがいいですが、それよりも自分たちとしてもニッチフレグランスを知ってもらいたいし、使ってほしいというのは本音ですが。(笑)

ーお店に取り入れる基準というのはあるのでしょうか。
由佐:背景のないブランドはあまり見ていないですね。ただの「ローズのフレグランスです」というものや、中価格帯のものなどは取り扱いしていません。

ーニッチフレグランスでは、どのあたりが人気商品ですか。
由佐:バイレードはとても人気ですね。スウェーデン人のベン・ゴーラムというデザイナーのフレグランスブランドです。仙台という土地では、香水の使う意味や方向性、時間帯やシーン、季節をまじえて、お客様の知らないことを伝えていくことで、お客様も色々な香りに挑戦してくださりますね。

ーニッチでラグジュアリーなものにこだわるのはなぜでしょうか。
由佐:やっぱり芸術作品だと思っているんですよね。作っている彼らがアーティストなので、きちんと並べてその世界を見せていければ、とても人を引き寄せられるんですよね。それを知ってほしいというのがありますね。

ーこれからの展望を教えてください。
由佐:仙台でこれからもずっとやっていきたいです。既存のものが一番いいベースだと思っているので、これ以上店舗を増やしていこうというのもそんなに考えていません。Eコマースやネットで楽しめるツール、SNSも重要だと思いますが、SNSで完結させないように、今あるものを大切にして、世界観に包まれるような素敵な空間でタッチアップするところまでいけるのが理想の形です。欲張らないで、長く続けていくことですね。

〈 SHOP INFORMATION 〉

パフューマリースキヤ

宮城県仙台市青葉区中央1-1-1
仙台エスパル本館 1F

電話番号:022-214-3777

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