パルファム ソムリエールを育成するパルファム コンサルタント 小磯良江に訊く、長年に渡るキャリアと香水の魅力
2017.09.25
- Scentpedia編集部
ブルーベル・ジャパン独自の資格「パルファム ソムリエール」を育成するパルファム コンサルタント 小磯良江。フレグランスの業界に入って20年近く、第一線で活躍する香りのプロフェッショナルとして、香水に関わる仕事とはどういったものなのか。さらに香水の魅力、香りの選び方、今のトレンドを聞くことができた。
−まずは「パルファム ソムリエール」及び、「パルファム コンサルタント」の仕事について教えてください。
小磯 良江(以下、小磯):香水のソムリエということで、お客様一人一人の気分や好みにあったものをご提案するのが、「パルファム ソムリエール」の主な仕事になります。そのために豊富な知識や、コンサルテーションスキルを身につけています。「パルファム コンサルタント」というのは、私のタイトルなのですが、パルファム ソムリエールを育成していくことが私の主な仕事であり、様々なコンサルテーションの内容、商品の選び方をトレーニングして、彼女達にインプットしていくことですね。
−教えることに加えて、メディアへの露出や、イベントに出られることも多いようですね。
小磯:啓蒙活動として、直接多くのお客様にフレグランスを知って頂く機会があれば、どこにでも行きます!という感じです。(笑)
−これまでに、たくさんの方とトークセッションされていますが。
小磯:おかげ様で「香水の日」のイベントでも毎年セレブリティの方をアンバサダーにお迎えして、トークをさせて頂いたり、読者イベントであったり、雑誌社とのタイアップ企画に呼んで頂くこともありますね。
−以前は長きに渡って化粧品のマーケティングやトレーニング職に就かれていたとのことですが、そこではどのような仕事をされていたのですか。
小磯:実は最初は、国産ブランドの美容部員として静岡の片田舎で働いていたのが最初なんです。そこで、トレーニング部門に転属が決まって、東京に異動してから、ずっと東京です。その後、外資の化粧品会社でマーケティング職に就いて、当時ちょうどそのブランドが、日本人向けのスキンケアに力を入れていたので、商品開発にも携わっていました。
−そこでは、今のようにフレグランスに関わることはほとんど無かったのでしょうか。
小磯:当初はフレグランスも有名なブランドだったので、一部フレグランスにも携わっていました。
−香水に興味を持っていたのは、元々でしたか。
小磯:化粧品の横には必ずフレグランスがあったのですが、あくまでも「化粧品の横」というポジションだったんですね。香水の世界にどっぷり浸かるというのは、正直ブルーベル・ジャパンに入社してからでした。当時は、香水のトレーナーとして、と言われたのですが、香水のトレーナーってなにやるの?というところから始まって。(笑)ひとつひとつ私自身も勉強して、ハマっていったという感じです。
−ではその頃には、「パルファム ソムリエール」というもの自体はなかったのですか。
小磯:そうなんです。当時ワインのソムリエというのが広く知られるようになったころで、私自身ワインが大好きなので、香水もワインに似ているなと思い、そこからヒントを得ています。まだまだ香水のことを身近に感じる方が少なかったので、香水の翻訳者のような人材が必要なのではと思ったことと、香水を販売する人たちが、プライドや目標を持って仕事をして欲しいという想いから、企画をして立ち上げたのが、「パルファム ソムリエール」です。
−香水に関わる仕事がしたい、という想いから転職を選んだのでしょうか。
小磯:香水だけでどんな仕事ができるんだろうというのが一つと、当時からブルーベル・ジャパンが扱っていた、グッチの「エンヴィ」という香水が、私のお気に入りだったので、香水にも惹かれつつ、化粧品をずっとやっていたので、新しい分野でどんなことが出来るかな、という2つの柱でしたね。
−最初はフレグランスの業界に入ってみてどんな印象を受けましたか。
小磯:かなり混沌としてました(笑)。売り場にしても、百貨店に入っても、今でこそ入り口であるとか、わかりやすい所にスペースを展開させて頂いているのですが、当時は、どこにあるの?というくらい奥の小さいとこにいろいろと並んでいる感じだったので、「これは結構、やることがいっぱいあるな」という感じでした。
−今からどれくらい前のことでしょうか。
小磯:今から約、20年弱前くらいですね。
−今よりもっとフレグランスを使う人も少なかったのではないでしょうか。
小磯:そうですね。顧客の方は確かにいらっしゃったのですが、まだまだ裾野が広がっていない状況だったので、限られた方の為の売り場といった感じの印象を受けましたね。
−当時から、ここを変えて行きたいなと感じましたか。
小磯:そうですね。私は人と携わるのが仕事だったので、スタッフにはもっと素敵に輝いてほしいし、輝くためにはもっと素敵な場所、働く場所を創ってゆきたいって想いでしたね。
−どのようなところに、香りの魅力や楽しさを感じますか。
小磯:香水は製品の形があっても、香り自体は形として見えるわけではないですよね。それを表現していくというのが香水の販売や仕事における魅力だと思います。色々工夫して、相手に伝わった時の喜びは、フレグランスの仕事ならではの喜びがありますね。一つの香水がつくられる時には、作り手の想いやこだわりがあるので、それを私たちが理解して伝えていく為には、商品のことだけではなく、ストーリーにまつわる歴史であったり、素材に関する知識を勉強していくことが、自分自身にとってもプラスに、豊かになれることを実感します。
−どういったポイントを抑えてお客様にとってパーソナルな香りを選んでいきますか。
小磯:その方のパーソナリティーを教えてもらうことが、その方に寄り添える香りを探り出すヒントになります。好みはありますが、その人を形作っているファッションや、好きな色、好きな食べ物などのライフスタイルの様々な面を紐解いていくというのが、コンサルテーションの柱となります。
−自分がどういった香りが好きかわからない、なんて方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
小磯:それも同じように、今までの記憶の中で、いいなと思った香りや、ネガティブになる香りなどを探っていって、ライフスタイルやお仕事の環境などもお伺いしながら、提案をしていきますね。
−逆に香りにはすごく興味があるけど、香水に酔ってしまう、というような方には、どのように提案しますか。
小磯:まずはまとい方ですね。付ける量や、位置、まとい方を確認させて頂いて、アップデートしていくと、かなりその辺りは良くなるのでは、と思います。
−パルファム ソムリエールを育成する上で、香りのどういったことをお客様に伝えて行って欲しいという考えはありますか。
小磯:まず、パルファム ソムリエールの役割は2つあると感じています。一つは、お客様を第一に考えて、お客様ありきの選択・提案をするということ。もう一つは、作り手の思いをしっかり伝えていくということ。結果、その香りをまとったときに、どのような雰囲気や気分になれるのかをお伝えすることが重要だと思っています。
−フレグランスに携わっているなかで印象深いエピソードがあれば教えてください。
小磯:毎年行っているイベントの際に、お客様が楽しみにご来店頂き、パルファム ソムリエールのことをしっかり覚えてくれていて、「今年も来ましたよ」と言って頂けることがどんどん増えてきていることは、非常に喜びですね。パルファム ソムリエール達も毎日の仕事の中で、非常に多くのお客様に相対しているのですが、瞬時にお客様を思い出せることが、凄いなと感じます。そしてあの時にこれをご紹介したお客様、というのをみんな大体思い出せるんですね。一人一人に親身になって対応しているということが言えるのでは、と思っています。
−20年前とは、日本のフレグランス業界は変わってきたと感じますか。
小磯:フレグランス自体は浸透してきていて、使う側も成長してきているなと感じています。それまでは、香水をつける人たちは一部の方という印象もありましたが、日常的に使われるようになってきていると実感しています。裾野が広がると同時に、ニッチな、自分らしいものや、こだわりの香りを求める人が増えてきているというところでは、日本でもフレグランスを使う人たち全体が底上げされているように感じています。
−男性がよく香水をつけるようになった、などのメンズとレディースの違いはありますか。
小磯:特に男性の伸張率は高いと感じていますね。若年層の方から、ある程度年齢を重ねた方たちも、幅広く香りを取り入れるようになってきています。男性は特にユニセックスフレグランスや、メンズやレディースこだわらずに使う方が顕著に増えてきています。美の意識も高まっているようにも思います。
−今の季節やトレンドにぴったりのフレグランスを教えてください。
小磯:この秋は、非常に多くのブランドからフレグランスが発表され、豊作の年になりましたが、今話題を集めているグッチ「グッチ ブルーム オードパルファム」がお勧めです。発売時から大ブレイクしていますが、今年は全体的にホワイトフラワー系の香りがトレンドですね。10年くらい前のフルーティ フローラルの香りから、だんだんローズの香りが人気となり、最近ではホワイトフラワーの香りが注目されているなと感じますね。
−どういったシーンにおすすめですか。
小磯:これは凛とした部分と、チャーミングな部分を持ち合わせているので、デイリーのビジネスシーンなどにもさりげなくまとって頂けると素敵ですね。いつもの自分を、クラスアップさせてくれる香りです。
なお、大阪と横浜で開催される「香水の日」のトークイベントでは、フレグランス アンバサダー の加藤夏希と、パルファム コンサルタント小磯良江によるトークセッションが行われる。新しい香りとの出会いにむけた「香りのアップデート」する選び方や楽しみ方など、ちょっと今までとは違った自分を発見するための香り探しには、必見の内容となりそうだ。
イベント詳細
9月30日(土) 髙島屋大阪店 1階グッドショックプレイス
■14:00〜 ■16:00~
10月1日(日) 横浜髙島屋 1階正面特設会場
■14:00~ ■16:00~
さらに「香水の日」キャンペーンサイト内では《香りのUpdate診断》と題して、より輝く自分になるための香りを選べる香水診断を10月15日まで展開中。診断結果をSNSでシェアすると香りのサンプルが貰えるというものだ。
「香水の日」キャンペーンサイト:http://cp.cafedesparfums.jp/
問い合わせ先/ブルーベル・ジャパン 0120-005-130