香りの好みというのは人によって千差万別ですが、
その好みには、ある程度の国民性や地域性も関係している事をご存じでしょうか。
その原因の1つが体臭によるもの。
日本を含む東アジア諸国の人々は、他の地域の人々に比べ「アポクリン腺」と呼ばれる汗腺が少なく、それにより「腋臭(ワキガ)」になる人も少ないそうです。
つまり、比較的体臭が薄い人種なのです。
従って、香りに対してより敏感であるが故、強い香りより控えめな香りを好む傾向があります。
一方で、「アポクリン腺」の多さに加え、高タンパク・高脂質な食事によって体臭が強くなりがちな欧米諸国の人々は、子供の頃に体臭についての対策を親から教えられることが当たり前になっている地域もあるほど、
体臭のケアが単なるエチケットとしてだけでなく、日本人の体臭のケアに対する感覚よりも、さらに重要視されているそうです。
さて、それぞれの地域で好まれている香りの特性についてご紹介致します。
アメリカでは、体臭と合わさることで甘い香りになるように作られた制汗剤が広く親しまれています。これは、一般的に甘い香りが好まれる傾向を反映しています。
16世紀のフランスでは、アンリ4世が愛人に言った「今から行くから、身体を洗わないで待っていろ」という言葉が表すように、 お風呂に入っていない状態の体臭 でさえセクシーだと言われていたそうです。このような歴史からか、日本人に比べ強い香りが好まれる傾向があります。
そして、子供用の香水が販売されていることからも、香水の使用が国民的な習慣となっています。
日本と同じく比較的体臭の薄い人種が多い中国では、柑橘系などの控えめな香りが好まれています。
ブラジルでは、華やかな香りやフルーティーな香りが広く愛され、メキシコでは強く長時間香りが続く香りが人気です。
香りの好みには、歴史や文化の影響も見逃せません。
例えば、日本では「魚が焼ける匂い」は食欲をそそりますが、他の地域では嫌悪感を覚えることがあります。これは、戦争が絶えなかった地域で焼却された遺体の匂いと「魚が焼ける匂い」が類似しており、忌まわしい記憶が呼び起こされる可能性があるからと言われています。
その理由として一説には、
民族間や領土間での戦争が絶えなかった地域で、多くの遺体が焼却されてきた歴史があり、その匂いと「魚が焼ける匂い」が似ているが為に忌まわしい記憶が呼び起こされるから
と言われております。
こうした背景に基づき香りの好みを理解することで、各国の文化や人々の心情に触れ、香りの奥深さを感じることができると思います。
是非、このコラムを通じて各地域の香りの魅力に迫ってみてください。
画像出典:https://meiga-louvre.amebaownd.com/posts/7573142/
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