今回は、「シベット」についてお話します。
シベット(CIVET)とは、主にエチオピアに生息している、ジャコウネコの生殖器近くにある、黄白色のペースト状の分泌液から作られています。と説明されても、全く想像ができないかと思います。いい匂いなのか、臭いのか..。みなさんはどんな香りを想像しますか?
なんとシベットからは、非常に強力な糞便臭・動物臭がします。シベットの臭いを例えるとしたら、フロスなどをした時に出る歯クソを凝縮した臭いとも言えます。お気に入りの服にかかってしまった日にはもう..想像しただけでも気が滅入りそうですよね。ですが、そんなシベットの香りは高品質な香水に使用されています。単体だとものすごく臭い香りなのですが、別の香りと合わせた時、良い香りを作り上げてくれます。面白いですね。
不思議なことに、人は良い香りより臭い香りのほうが盛り上がります。例えば、良い香りを嗅いだ時は「あ~良い香り」で終わることが多いですが、癖のある香りや、臭い香りを嗅いだ時は「クサッ」ってなった後、『また嗅ぎたくなる』。という経験はないですか?臭いものというのは、一度拒絶され、その後人がまた嗅ぎに行く。つまり、「嫌いは好きの始まり」だと思います。
好きと嫌いの感情には、表裏一体な部分があると思います。臭い香りは良い香りよりも、歓声を浴びることがあります。例えば、「キャー臭い」と言うようなものです。そして拒絶され、また手を伸ばす。臭い香りには、人の心をくすぐるような何かがあるのだと思います。
シベットの香りを、どのように使うと良い香りに使えるのか。どう考えていったのか。とても興味深いですね。
前回、前々回と紹介してきた、ムスクとアンバーはここから香水が出来上がっていくというのが想像できる香りだったのですが、シベットに関しては香水が出来上がるイメージが全くわかないのも、特徴の中の一つかもしれません。
どうでしたか?シベットの香りを想像できたでしょうか?
次回のコラムでは、動物系香料最後の一つ、「カストリウム」についてお話ししたいと思います。