Fragrance web Magazine

|セントペディア

Scentpedia

COLUMN

TOP・MIDDLE・LAST とは?

2023.06.27

Scentpedia編集部

今回は香水を知るうえで避けては通れない、香水業界の「専門用語」についてお話しします。

香水を買うとき、TOP・MIDDLE・LASTという言葉や、調香を表すピラミッドを見たことはありますか?

香水を手に取り、「この香水はどんな香りですか?」と店員さんに聞くと、「TOPは〇〇で、MIDDLEは〇〇、LASTは〇〇が使われていて、女性らしさを表してくれるお花畑のような香りですよ~」などと香りの説明をされたことがあると思います。

ん?TOP・MIDDLE・LAST?なにそれ。と感じている方、感じたことがある方のために、説明していきます。

香調を表すピラミッドでは、トップノート・ミドルノート・ラストノートの3つを使い、その香水がどのように香っていくのかを表します。

トップノートは、香水を嗅いだ時・2~3分、長いもので10分の最初に香る香りの種類、大きく分けてシトラス・フルーティー・アルデハイドノート・(シャネルNo’5で使われている合成香料)・リーフィグリーン(葉っぱのようなグリーンな香り)大体この4種類が使用されています。

他にも、アップル・アクアノート・(マリンノート。メロン主体・ミュゲ(鈴蘭)の掛け合わせ)・アプリコット・バジル・ベルガモット・ココナッツ(サーフボードに塗布するワックスの匂いでもあるため、サーファーの印象が強い)最近ではライチ・マスカット・柚子(天然)などが使用されています。

アルデハイドノートとは、シャネルNo’5で使用されている独特な合成香料の香りです。
細かく説明すると科学の話となり難しいので、なんとなくシャネルNo’5の最初に香る香りだと覚えてください。

柚子(天然)の香りが今日では出回っていますが、日本的な香りを作り出したいという志向から使われるようになった香りで、これが日本の香りの限界でもあるのですが、柚子の香りはまだアコード(複数の香料のバランスをとること)がまだ存在していなく、ずっと柚子の香りが香ってしまうのが難点です。柚子そのままの香りでもいい香りなのですが、例えば、柚子を絞って頭からかけて外に出てきている人って魅力的か?となったとき、そういう事ではない。となりますよね。

柚子とグレープフルーツのアコードだと、比較的近しい香り同士になるため、良い香りが作り出されることは、ほぼ明確的です。そうではなく、例えば柚子とバニラ、柚子とジャスミンなど、まるでメロンに生ハムを乗せて食べているときのような、そういう所まで、柚子を取り巻くアコードを提案することが、香水業界の課題となっています。

次にミドルノートは、10分から30分・1時間の範囲でトップの次に香ってくる香りのことをいいます。香りの種類としては、フローラル・スパイシー系が基本とはなっています。カーネーション・シナモン・クローブ・コリアンダー・シクラメン・ジャスミン・ミモザ・イランイラン(男を惑わすようなセクシーな香りを演出する際に使用されることが多い)・ガーデニア・ホワイトワイン(シャルドネ)などが主に使用されています。

シナモンの香りですが、考え方や人によってはラストノートに使用されることもあります。
他の香りも同様に、ここじゃなきゃダメ!と決められているわけではないので、この説明はあくまでも「どのノートでよく使われているか」という説明となっています。

最後、ラストノートでは、約1時間後に香ってくる香りで、別名ベースノートとも呼ばれています。香りとしては主に、アニマル・ルビーノット・バルサム・バニラが使用されることが多いです。

先ほども説明した通り、この香りはこのノートで使用しなければならない。というルールは存在していません。

これが意味するのは、「香りに関して綺麗に線を引かないでほしい」という事です。

変な話、料理をしている時に、その塩を初期で入れても後でつけても、それは料理人の自由であることと近く、TOP・MIDDLE・LASTとはその程度でしかないので、その表を硬く頭に入れるのではなく、柔らかく入れてください。
自分が知っているTOP・MIDDLE・LASTではない商品やピラミッドが来ても、そんなにびっくりしなくて大丈夫です。

こういった綺麗に線を引かない香りの楽しみ方、香調のルールが細かく決まっていなく表現が自由なのは、ヨーロッパの文化に影響されています。

対して、アジア人は例えば、シトラス・フルーティ・フローラルの流れにシャルドネ(白ワイン)が入るのをすごく嫌がります。みんな、均一の状態での情報を好むからだと考えられます。

ヨーロッパの個性を尊重する文化が、クリエイティブさを生み、新たな香調を生み出しているのです。

今回は、皆さんが一度は目にしたことがあるであろう「香調ピラミッド」についてお話ししました。

香りを言葉にして伝えるのは、とても難しいです。そこから、ピラミッドのような図にして伝えると伝わりやすいし、わかりやすいよね。となり、今日では世に出回っている、ピラミッドの図を用いて、香りを説明・表現されるようになり、さらに香りへの理解や想像がしやすくなりました。

みなさんも、香りに線を引かず、美しく変容する香りの世界に魅了されてみてはいかがでしょうか。

過去のCOLUMN記事では、よく耳にする香調をシリーズに分けて紹介しておりますので、併せて読んでいただくとより楽しんでいただけるかと思います。

関連記事