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パリのアトリエから届く、日本の贅をつくしたラグジュアリーフレグランス「Miya Shinma Parfums」調香師 新間美也に密着

2017.10.31

Scentpedia編集部

「Miya Shinma Parfums(ミヤ シンマ パルファン)」は、日本人調香師 新間美也によって作られたフランスのラグジュアリーフレグランスブランド。最高級の素材とともに、自然の美しさ、日本の伝統や文化を投影し、彼女の哲学「自然に従い、芸術に従う」のもとフレグランスを生み出し続ける。日本人らしい奥ゆかしさと、彼女の美学がそのままに表れた香りは、大々的にプロモーションをすることも、広く流通させることはなくても、香りの美を追求する者の心に残り、フランスや日本をはじめとした世界に浸透している。香水の本場ともされるフランスで活躍する新間氏に話を聞くことができた。

−ブランド設立当時のお話を聞かせてください。

新間 美也氏(以下、新間):最初は自分で制作した香水をボン マルシェのバイヤーの方に営業に行き、そこからブランドの展開が始まりました。当時「フィン フロール」という友人がつけてくれた「唯一の、最上級の」という意味があるブランド名で立ち上げたのですが、ボン マルシェのバイヤーやスタイリストの方に、自身の名前の方が、日本人が作ったものだとわかりやすいと言われて…。雑誌にも載せて頂いたのですが、どんなところでも「フィン フロール」ではなく、「Miya Shinma」でしたね。当時は恥ずかしかったんです。今でこそ慣れちゃってショッピングバッグに大きくMiya Shinmaって書いてありますけれど(笑)

 

−フランスでは“メイド イン ジャパン”のフレグランスは見られ方が違ってくるのでしょうか。

新間:そうですね。プレゼントでも日本製のものは凄く喜ばれますし、その当時もそうですが、今は特にそうですよね。

 

−香りを作るインスピレーションの源は何ですか?

新間:一番最初に作ったものが「はな」、「月」、「風」なのですが、日本人らしいブランドとして香りを作ることを考えていたときに、小さい頃から馴染みもあって、よく暗記させられた百人一首を思い出して。実家からカルタを送ってもらって、読み返したら、花・月・風というテーマが多くあったので、それぞれの詩にマッチする香りを手に取って、詩を香水で再現しました。

 

モダンフゼアの香水「たちばな」

−ラインアップがとても豊富ですが、どれくらいの期間で仕上げられるのでしょうか。

新間:9月に新しいラインを5種類出したのですが、日本に来る前にも7種類発表してきました。アルファ ロメオという車の香りを作るプロジェクトがあったので、すぐに取りかって、もう大変でした。(笑)もっとゆっくりとやりたいですが、人生そんなに長くないので。

 

−フランスでは、購入出来るブティックはありますか。

新間:パリのアトリエだけですね。

 

−パリのアトリエでは、オーダーフレグランスも制作されるとのことですね。

新間:そうですね。こちらは月に1〜2回程度なのですが、友人の友人だったりと、近しい関係の方が多いですね。

 

−どういった風に香りを作っていくのでしょうか。

新間:原材料の香りを見て頂きながら作って行く場合もありますが、色んなお話をしながら、これまで使ってきた香りなどもお聞きして進めていきます。目の前で作っていくのですが、皆さんお好きな香りがはっきりしているので、とても仕上がりが早いですね。

 

−フランス人の方ばかりなのでしょうか。

新間:サウジアラビアの方だったり、ロシアやイタリア、もちろんフランス人の方もいらっしゃいますが、本当に色々です。

 

−ブランドの強みやアピールポイントを教えてください。

新間:「日本らしさ」ですね。フランスでも、ブランド名だけで日本のものというのがわかって頂けて評価してくださいますし、ラグジュアリーで雅なものであるということを感じて頂けることが多いですね。日本のラグジュアリーフレグランスとしてやっていきたいので、それを知ってほしいというのもあります。

 

新たに10月18日に発売した着物をモチーフにした香り「KIMONO HINOKI」

−原材料は日本のものを使っていたりもするのでしょうか。

新間:必ず一つは日本の香りを入れています。

 

−アトリエ・アローム&パルファン・パリの設立から日本での教育にも注力されていますが、まだまだ啓蒙活動を行っていかれるのでしょうか。

新間:どう思いますか?(笑)

 

−フランスでこのように活動されていながら、日本のフレグランス業界を見る方って他にいないので、是非続けていって欲しいです!

新間:有り難うございます。その期待に応えたいと思います。日本では私は講師に教えていて、他はお任せしているのですが、甥に3歳の頃から調香を教えているんです。パリのアトリエに遊びに来ると私がアシスタントのようにしています。(笑)子供の教育だったり、お年を召された方への訓練だったり、本を書いたりもして行きたいと思っています。日本特有の香水文化を築けていけたら、誇らしいですよね。

 

−今回のサロン ド パルファンを通して何か気付きがありましたか。

新間:香りに興味を持っている方が、去年に引き続き今年も来てくれたりしていて。そういった人たちの為にもっと知識を深められるようなコミュニティーであったり、機会が少ないなと思いました。もっと時間をかけてでも、そういった方達の勉強や成長に繋がる場が増えればいいなと思いました。

 

−これからの展望をお聞かせください。

新間:日本でもこうして紹介して頂けましたが、今まで行ったこともなかったような国の個人のセレクトショップの方が目を付けてくださるようなブランドになってきました。ジョージアや、ブルガリア、バルト三国、エストニア、ウクライナだったり、そういったところにも、自分の分身(作品)が色んな国に渡っていくと思うと不思議な気持ちになりますね。ボン マルシェでの取り扱いがきっかけで、こうして連絡があったりすることが多いのですが、ただの楽しみではなくプロフェッショナルとしての自覚も出てきますし、有名なブランドのようにサイクルが出来てきて、こうして仕事になってきていますので、これからももっと広がっていければなと思います。

ミヤシンマ パルファンは、全9種 55ml 18,000円(税別)がヘリテージラインとして、現在は伊勢丹のオンラインストアにて発売中。


調香師 Miya Shinma
自身に秘められたジャポニズムと香道という形式をもった日本独自の香り文化を背景にした香水ブランド「Miya Shinma Parfum」を設立。フランスと日本を往復する生活を続けながら、香りのオブジェやオーダーメイド香水などの制作や香りに関する執筆や講演を行う。

問い合わせ先/フォルテ 042-222-7331

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