今回のコラムでは、香水業界で最もよく使われている色の1つについてお話しします。
私は、青の色には「異なる2つの意味」があると考えます。
同じ色でも、その濃さが違うだけで、全くの反対の感覚を伝えることは、可能だと思いますか?
この色(青)自体が静けさ、平和、落ち着きの象徴であり、同時に贅沢さ、洗練、官能、誘惑、多目的性なども意味することができると、私は考えます。
今日は、青色がどのようにして香水業界で愛される色になり、その色の微妙な色調やニュアンスの変化で、数多くのメッセージを伝えるための色となったのか、皆さんに少しシェアしたいと思います。
青色は、大きく分けると、繊細で落ち着いている色調と、独占的で誘惑的な印象を与える深みのある色調の二つで、私たちに色を通して伝えたいメッセージを残します。
Lapis Lazuli (瑠璃色)
何千年も前、青色の顔料は古代エジプトで発見され、装飾芸術等に使用されていました。
当時、石炭岩、銅、マラカイト、またはアズライトを混ぜ合わせ、過熱をして溶かすことにより、貴重な青色の顔料が生成され、絵の具やガラスに色を付けていました。
何世紀も経つと顔料のコストを下げるため、様々な新しい青の色調が発見され、この混合物に「瑠璃(るり)」と呼ばれる宝石を加え、ウルトラマリンブルーが生まれました。
これは、史上最高に高価な青色でした。
前述の通り、青色を作り出すためのコスト削減に成功したものの、歴史を通じて青色は、高価な色であり、裕福な人々、王や王女のためにだけ使われていました。
広告とマーケティングの世界では、青は調和とバランス、穏やかさと平穏さに関連していて、清潔さ、男性らしさ、自信を促進させる色とされています。そのため、多くの濃い青色のシェードは、男性用の香水であり、官能、活力など、力を関連付けています。
対照的に、明るい青のシェードは、水のようで多目的、若々しく軽やかなエディションに関連付けられています。
香水の世界における青のニュアンスは、まるで同じコインの裏表のように異なるものを表しています。
昼用の香水は、多彩で軽やかで若々しく、ほぼ透明な淡い青の色調のボトルに収められていることが多い一方で、濃厚で神秘的な香り、時には水や塩のような感触を持つ香りには、暗い青のトーンのボトルが使われ、その一部の場合では、ほぼ黒いボトルを使用することもあります。
私が一番好きな明るい青のシェードの香水は、トム・フォードの「マンダリーノ・ディ・アマルフィ」です。
この香りは、活力や情熱に満ちていて、氷をたっぷりと添えて飲みたくなるような、そんな印象を与えてくれる香水です。
軽やかで繊細な花の香りは、肌に優しく触れるように広がり、優雅で絶妙なスパイシーな香りで肌を包み込み、最後には、そっと香るムスクの基盤に移り変わり、最後まで清潔さを感じる香りに包みこまれます。
最後に、深い青のシェードの香水の例として、「02 L'air du Desert Marocain」by Tauer Parfumesを紹介します。
この香りは、まるで一夜を表すかのようにしっとりと、青という色の深みを表しています。
この香水は、クミンとコリアンダーシードの香りから始まり、その後ラウダナム、ゼラニウム、ジャスミンの花から成るさらに深い青を感じられる香りへと移り変わります。
時間が経つにつれて、夜がますますその青い色調で暗くなり、深く暗く広がった空が、星々で明るくなるのを香りを通して感じます。
この美しく、複雑な青い香水からは、アンバーとモスが織りなす濃烈な波を感じることができます。
皆さんにとって、最も魅力的な青色の香水は何ですか?