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【インタビュー】“人生は冒険があったほうが楽しい“ この2年間で海外での成功を掴んだフレグランスプロデューサー石坂将の今後の展望とは?

2020.08.28

Scentpedia編集部

SNSや街中で目にすることも多くなった、香りを重ねて楽しむ「レイヤードフレグランス(LAYERED FRAGRANCE)」。
海外への出店も着実に進めているジャパンメイドのフレグランスブランドを創出した石坂将(セントネーションズ 代表取締役)に、
昨今の動向やコロナ禍で感じた強み、プロデューサーとしてのこれからの展望について迫った。

 

前回のインタビュー(2018年)から2年が経ちましたね。

今年に入って世の中も大きく変化しましたが、セントネーションズとしてこの2年間を振り返って大きく変化した点は何ですか?

 

石坂 将(以下、石坂):大きくシンボリックな変化はないですが、海外輸出の規模が拡大、国内外ともに店舗数の増加、オンラインが伸張といったように、事業モデルはそのままにそれぞれが着実に伸びてきたなという印象です。

 

-海外展開はどうでしょうか?

 

石坂:フレグランス業界では結構有名な話になるかと思いますが、中国での爆発的なヒットがありました。中国最大のオンラインショッピングモール「天猫」にて、グローバルブランド以外で初めて登場してきたブランドとして中国市場に定着してきています。同時にオフラインでも500店舗流通させることに成功しました。日本のフレグランスブランドでこれだけ海外に店舗を構える例は他にないでしょう。そういった強い実績は積みましたが、一方で色んなラッキーが重なったなという感覚もあるので、今後は自分たちの実力で相手先の国における戦略とかそういうものを改めて持っていかないと同じような成功は掴めないと感じています。この2年間はそれをずっと悩みながらやってきましたが、試行錯誤を繰り返す中でようやく自分たちのグローバルに対する揺るがない戦略ができ上がったので、今後はそれを主軸としてやっていくつもりです。

中国・ウルムチにてレイヤードフレグランスの講演

今回のコロナウイルスの拡大により、どんな影響を受けましたか? 


石坂:振り返ってみると、結果的にあまり影響を受けていないです。もちろん、一時的に問題が勃発した時や不安な時期もありましたが、それによってやるべきことを大きく変えてきたわけではなく、今までやってきたもので特に減速させたものもないです。ただ腹に力が入ったくらいだなって思っています。(笑)

 

自粛規制に伴い実店舗の売上がほぼ立たなくなった状態は、どのようにして乗り越えましたか?


石坂:売上の面で言うと、世の中全体の動きと同じで、店舗が動かなくなった分の売上がオンラインに移行しました。レイヤードフレグランスは、もともとオンラインが強いブランドなので、重要視していたものがより一層強まっていったように思います。自粛要請で営業ができなくなった店舗のスタッフには、インスタライブを駆使して店頭での接客をオンライン上でおこなってもらいました。スタッフにはそういった、今の時代を生き抜いていく仕事の力を教えていきたいと感じていたので、販売という枠だけに留まらない自発的な学習意欲をどうしたら持ってもらえるか、今回のコロナを通じて一番考えたところかもしれないです。

 

レイヤードフレグランスのインスタグラムのフォロワーも先日8000人を突破しましたね。(2020年8月20日現在) 今後、そういったSNSにも力を入れていく予定ですか? 


石坂:そうですね。オンラインにはもともと力を入れていましたが、SNSは未開拓だったので今年に入って強化しはじめました。インスタグラムでのプレゼントキャンペーンやインフルエンサーを使ったプロモーションによって、ブランドのファンが増えてきたのは目に見えて感じた部分ではあるので、今後もどんどん強化していきます。

  • 2020年2月にオープンしたジョイナス横浜店。これまでのシックなイメージを一新し、SNSをよく利用する層にも目に留まりやすいディスプレイ

今回のコロナウイルス感染拡大、環境の変化に伴い、フレグランス業界はこれからどう変化していくと思われますか?

 

石坂:

考え方は人それぞれですが、コロナウイルスが与えた影響として、組織や会社の置かれているポジションの本質が強く浮き彫りになったのではないかと思います。フレグランス業界に限った話ではないですが、店舗を持っていないプレイヤーは存在感が失われ、遅かれ早かれいつか廃れるといった考えが根底にあるのですが、その衰退の速度を加速させたのではないかと思います。酷な言い方に聞こえるかもしれませんが、これは結構シンプルな話で、実店舗がないメーカーはどうしたら売れるかわかっていない、接客も含めてノウハウがないから必然的にそうなりやすいですよね。

 

 

家の中で香りを楽しむ人は、今回のステイホームで確実に増えたような気がします。

そういった面でも、ホームフレグランスなどのラインナップも増やしていく予定はありますか?

 

石坂:

レイヤードフレグランスではもともと増やしていますが、今後はレイヤードフレグランスとしてラインナップを増やすことにこだわらず、セントネーションズが色々なかたちで新しいブランドを作る会社であることを世の中に出していきたいと思っています。私がレイヤードフレグランスを設立したように、2代目のプロデューサーを生むことはずっと望んでいたことでもあるので、そういった挑戦もしていきたいです。近い話でいうと、私が以前代表を務めていた別会社のアドネーションズから「eagg」というアロマキャンドルのブランドを出すことが決まっています。私自身フレグランスプロデューサー、また社長として経験を積んできましたが、投資家として自分の持っているノウハウとキャッシュで新しい試みをおこなっていく回数をちょっとずつ増やしていきたいですね。 

最後に、これからのビジョンをお聞かせください。

 

石坂:

あと10年くらいは、自分がプロデューサーとして制作の第一線、日本のトップとしてずっとやっていこうとは思っています。その中で、自分は“道を作っている”ということを改めて認識していくことが重要になってくると思います。国内も海外も販路を広げていますが、そこに乗ってくる新しい才能があればそこで商売ができて、新しい世界が出来上がりますよね。そのきっかけをまさに今作っているのだと思いますし、それをやり続けていくことですね。

 

新しい道を広げるきっかけ作りを進めていかれるのですね。


はい、人生は冒険性があったほうが楽しいですよね。なぜ私が会社やっているのかというと、冒険が楽しいからなんです。そういう意味では、海外輸出というものも自分にとって当たり前になりつつあるので、一年後には冒険性がなくなっているだろうなと思います。

 

2年前は海外輸出を増やすことを目標にしていましたが、それがもう定着し始めているのですね。では今後はまた新たな目標に?


アドネーションズのeaggなんかは新しい挑戦なので、すごく興味もあります。あと何件かやれば冒険性はなくなるかもしれないですけど、そういったプロデューサーとしてのきっかけ作りを増やしていくことが今の目標であり、大きな楽しみでもありますね。

 

レイヤードフレグランス オフィシャルサイト:http://layeredfragrance.com/


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